妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 王都フェーレスに入った馬車は王宮までの道を進む。

 城下の町では国王が花嫁を連れてきたことで賑わっていた。エルファーレン王国の国民たちは皆外に出て、一目でも花嫁を見ようとしている。

「皆、カテリアーナを歓迎している。手を振ってやれ」

 人型に戻ったフィンラスが馬車の窓を開けてくれたので、カテリアーナは身を乗り出す。

 外には人型や猫姿、獣人のような人々がいて、皆手を振っている。カテリアーナはそれに答えるように笑顔を浮かべて、手を振り返す。

「顔が緩んでおるぞ。クローディアから王族の振る舞いを教わっているだろう?」
「だって、もふもふした人がいっぱい。きゃあ、猫耳可愛い」

 人の姿をしているが、耳だけ猫の少女を見つけてカテリアーナははしゃぐ。そんなカテリアーナを見てフィンラスは苦笑する。

「これは妃教育が大変かもしれないな」

 王宮に到着するまで、カテリアーナは子供のようにはしゃぎ放しだった。


 エルファーレン王国の王宮はラストリアの王宮と全く違った佇まいだった。

「何て素敵なお城かしら。子供の頃に読んだお伽話のお城のようだわ」
「気に入ったか? ラストリア王国は城塞都市で城は要塞だからな」

 眼前にそびえたつ城は白亜の壁に葉のカーテンがかかっている。周りは森に囲まれ、緑が豊かだ。まさに妖精が住む城といった佇まいだった。

「すごく気に入ったわ。早く散策してみたい」
「そうか」

 馬車は王宮の入り口に横付けされ、停止する。
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