妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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 軽やかにステップを踏み、舞うようにダンスをするカテリアーナに会場中の誰もが目を奪われている。

 羽のような飾りがついたバックリボンが揺れ、妖精が舞っているような様は優雅だ。誰もがカテリアーナが人間だということを忘れていることだろう。

 それはフィンラスも同じだ。カテリアーナのエメラルドグリーンの瞳をじっと見つめる。

「ダンスが上手いな」
「フィンラス様のリードが上手だからですわ。それとパールの指導が……鬼でした」

 淑女としての教養にダンスは必須だ。当然カテリアーナも幼い頃からダンスを学んでいる。だが、塔の上に閉じ込められて育ったため、ダンスを披露する機会は成人の儀一度きりだった。ブランクが長かったので、一からパールに叩きこまれたのだ。

「パールは容赦がないからな」
「おかげで上達しましたので感謝しています」

 お手本としてパールのダンスを見たカテリアーナは彼女のように踊りたいと思った。

 鳥の妖精パーピィであるパールはダンスが得意だ。エルファーレンの淑女の中では名手と言える。
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