妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 離宮にはカテリアーナが『取り替え姫』と呼ばれていることに対して、箝口令(かんこうれい)が敷いてある。だが、人の口には戸が立てられない。カテリアーナの耳にも自然とそのことが耳に入ったのだ。

「親に似ない子はいくらでもおる。それに瞳の色はわたくしと同じであろう?」
「そうね。おばあさま似なのね、わたくし」

 カテリアーナは三歳で祖母に引き取られてから、王宮へ行ったことはなかった。当然、それ以降、両親と兄姉にも会ったことはない。

 おぼろげではあるが、王宮にいた頃のことをカテリアーナは覚えていた。周りの人々の冷たい視線、『取り替え姫』と虐げれていたことは忘れられない。

 離宮に来てからは祖母や侍女、騎士たちに愛されて育った。

 カテリアーナは成人するまで王宮に行くことはないと思っていた。

 だが、その日は突然にやってくる。
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