妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 頬を打たれたカテリアーナは床に倒れる。倒れた衝撃で口の中を切ってしまったようだ。血の味がする。

 床に倒れたカテリアーナを見下ろしながら、アデライードはふんと鼻を鳴らす。

「これからはお望みどおりパンと水だけにしてあげるわ。『妖精の取り替え子』であるおまえに食事を提供してあげるだけでも感謝するのね」

 アデライードはくるりと踵を返す。

「王宮へ戻るわ。ここはかび臭くて陰気ね。まあ『妖精の取り替え子』にはお似合いだけれど」
「そうでございますね。アデライード王女殿下」

 しばらくすると二つの靴音が遠ざかっていく。

 カテリアーナは身を起こすと、ベッドに転がる。姉に打たれた頬が痛い。ほろりと涙が零れる。

「これは頬が痛いせい……」

 そう自分に言い聞かせた。
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