妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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 十六歳になったカテリアーナは社交界へデビューをする。

 ラストリア王国の成人年齢は十六歳だ。成人した王族、貴族の子女は社交界へデビューする。

 デビューする場所は王宮で開かれる夜会だ。その夜会は今夜行われる。

 夜会にはカテリアーナも出席するようにと、国王である父からの命令がきたのが一週間前のことだ。

 しかし、夜会用のドレスや装飾品をカテリアーナは持っていない。

 祖母の形見のドレスと粗末なワンピースを数着持っているだけだ。

「困ったわね。おばあさまのドレスを仕立て直そうとしても時間がないし、どうしたらいいかしら?」

 部屋の中を逡巡しながら、うろうろ歩き回っているとノワールがひょっこりと現れる。

 ラストリア王国で人語が話せないノワールとはいくつか合図を決めている。前足をくいとあげるのはついてこいという意味だ。
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