妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
「フィンラス様?」
「様もいらぬがな。まあ、いい」
「それではわたくしも敬称はいりません。カテリアーナとお呼びください」
「では、カテリアーナ。其方であれば、うちの連中とも仲良くできるだろう」

 うちの連中とはエルファーレン王宮に仕える人々のことだろう。

 フィンラスは妖精猫族の国王だ。ということは王宮に仕えている人々も妖精猫なのだろうか?

 カテリアーナは猫がわらわらとしているところを思い浮かべ、自然と顔が緩む。そんなカテリアーナの思惑を察したのかフィンラスが苦笑する。

「期待を裏切るようで申し訳ないが、王宮では人型で仕事をすることにしている」
「え! もふもふ姿ではないと!?」
「猫の姿だと、何かと不便なのでな」

 カテリアーナはがっくりと項垂れる。もふもふがいっぱいではないのかと落ち込む。

「カテリアーナが望むのであれば、全員妖精姿でも構わぬがな」

 フィンラスは愉快そうに笑い、カテリアーナを見ている。きれいなアメジストの瞳に見つめられ、カテリアーナの心臓の鼓動がドクンと跳ねた。
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