本能で恋をする
溶ける
やっと家に帰ってこれた。
「凛音。コーヒー淹れようか?」
俺はキッチンに向かいながら、凛音に声かけた。

「うん。ありがとう」
並んでソファーに座り、沈黙が流れる。


「海斗…」
「ん?何?」
「ギュってして」
「うん、もちろん」
ギュッ
「もっと強く」
「うん」
ギュュー
「私の名前呼んで」
「凛音…」
「もっと」
「凛音」
「もっと」
「凛音」

「好き。大好き。どうしよう。好き過ぎて、私どうしたらいい?」
そんなこと、俺が聞きたい。この苦しくて、痛い。でも、温かくて、熱い感情。

「だったらさ」
「うん」
「抱かせて。むちゃくちゃに。凛音が壊れる位に」
「…………いいよ。そのかわり…」
「ん?」
「私が嫌がっても、止めないで……」
「いいの…?」
「いいよ」

たぶん、これしか方法がない―――――
この狂いそうな、気持ちを表現する方法は。
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