王子と社長と元彼に迫られています!
「・・・ちぃちゃんはさ、あの日僕が声かけるまで僕が同じ電車に乗ってることに気がつかなかったんでしょ?」

「え、うん、ごめん、紬くんに気づかないなんて私っておかしいよね・・・。」

「僕、だからちぃちゃんのこと好きになったんだ。」

「・・・え?」

「・・・なんかこういうこと言うと嫌味な感じに聞こえちゃうかもしれないけど。」

「うん?」

「電車に乗ると女性達の視線を感じるんだ。立ってぼうっとしてた人とか、スマホいじってた人がふと顔上げた時とかに、僕の顔を見てハッとなるんだ。『いつも同じ電車なんです。』っていう人に連絡先渡されたり。中学の頃のこと、大人になったからもう気にしていないつもりでもやっぱり少しはトラウマがあるのかもしれない。」

紬くんの表情はそこで穏やかなものに変わった。

「僕、ちぃちゃんに気づいたのは、ちぃちゃんが電車で音楽を鳴らしちゃった時だった。それからもずっと見てたけど、気づかれなくて・・・。僕は自分の外見に注目されるのが嫌で、外見がコンプレックスだったからなんだか嬉しくて。それにちぃちゃんて見てるといつも動きが面白くて。」

「うそ、恥ずかしい!何してたんだろう。」

「知りたい?」

「うん!」

「・・・パソコンにデータ移してからね。」

「え~っ。」


紬くんは私の壊れたパソコンからデータが入っているというHDDを取り出してそれに専用のケーブルを繋いでくれた。そうすると新しいパソコン上にフォルダが開き壊れたパソコンに入っていたデータが現れて、必要なものだけ新しいパソコンにコピーした。

「何から何までありがとう。」

デスクに向かって隣に座る彼に頭を下げる。

「ううん、こんなのお安いご用だよ・・・もっと一緒にいたいけど明日も仕事だしもう帰った方がいいよね。送ってくよ。」

「え、いいよ、そんなの。紬くん既に帰宅してるんだし。それにそんなに遅い時間じゃないし。」

「そういうわけにはいかないよ・・・もし、どうしても一人で帰るって言うんなら・・・。」

彼はそこで膝の上に置いた私の手をぎゅっと握り、色を含んだ表情になって続けた。

「朝までここにいて?」
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