受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
(ううん、違う。たぶん、私は気付きたくないのよ。もしかしたら、もう告白しても遅いんじゃないかって)

 いつか恋愛小説で読んだ、『恋はタイミングが大事』という言葉が脳裏を過ぎる。
 恋愛において、ほんのちょっとのタイミングのズレが致命傷になるのだ、と。

 恋はとても繊細なものだ。人の気持ちの移ろいやすさを、レーヴは嫌というほど知っている。

(でもデュークは違うと思ってた……)

 だって、彼は獣人だから。
 恋に不慣れなレーヴのことを、いつまでだって待っていてくれると思っていた。気持ちに応えたいと思っている間は、ずっと。

 けれど、違ったのだ。
 目の前にいるデュークの姿。それが、なによりの証拠に思えてくる。
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