受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「すぐに実行したい気持ちはわかる。だが、焦ってはいけない。まずは任務を優先しなさい」

 今すぐにでもデュークの命を救おうとしているレーヴに、ロディオンは言った。

「盛り上がった若者は止まらないものだ。両思いになって浮かれた君たちが任務を失敗したりしたら、目も当てられない。安心しなさい。デュークは君がそばにいる限り、絶対に消滅しないから」

 恋する男は愛する女性の前ではかっこつけたいものだから、とロディオンは苦く笑んだ。
 彼の言葉に、レーヴの頬が赤く染まる。うっかりデュークにされた恥ずかしい記憶が蘇って、ついでとばかりにハッピーエンドを迎えた自分たちがキスをするところまで妄想してしまい、恥ずかしさをごまかすように自身の頬をパチンと叩いた。

(今は任務って言われたでしょ。デュークとのことは、後よ、後!)
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