訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!


 そういえば、ウィルのことをすっかり忘れていました。
 それもそのはず、毎日だった手紙は、3日に一度、週に一度と減ってきているのです。
 文面は相変わらず『ローズが足りない』とか『会いたい』とか恥ずかしいものばかりで、読んだらすぐ引き出しにしまっておくせいもあるかと思います。
 返事に何を書けば良いか、悩みに悩んでいるうちに、ウィルから次の手紙が届くこともあったので、このペースがちょうど良いです。

 お返事に、ジェームズお爺様のことを書いた時は、早めに次のお手紙が届きました。『ローズに会う為に一人で転移しようとしたら皆に止められた。』と書いてあり、私が庭師のようなことをするのを、反対したかったのかもしれません。ですが、お義父様にもお義母様にも許可を得ていますからね!好きにさせてもらいたいと思います!



 ある日の朝のこと。

「マリーに聞きました!マリーったらローズ様にもらったお花を栞にして、皆に自慢しているんですよ!」

 朝からぷんぷんしていらっしゃるのは、髪結いやドレスアップが得意なメイドのユリアさん。
 マリーさんがあまりにみんなに自慢して回るので、怒っているようです。

ポンっ

「あの、ミモザのお花です。ユリアさんもいつもありがとう。」
「まぁ!そんなつもりじゃなかったんですが、催促したみたいになりましたね……。」

 ユリアさんのお怒りは鎮まったようで、お花を愛でながらはにかむ姿はとても可愛らしいです。

「お花を喜んでもらえたら、私も嬉しいです。よかったら受け取っていただけますか?」
「もちろんです!ローズ様がお嫁に来てくださって私たち本当に喜んでいるんですよ!」

 お嫁さんには正確にはまだなっていませんが、優しい使用人の皆さんばかりで、私も嬉しいです。

「ありがとう。ユリアさん。」

 そうしてミモザのお花の連鎖は続き、私は使用人の皆さん全員にミモザを配ることになったのでした。
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