マリアちゃんと鬼ごっこ


「……あっ」

無我夢中で走っていると、三花の上履きが脱げてしまった。

「大丈夫か?」

「うん。平気だよ」

俺は脱げた上履きを拾いあげて三花に履かせた。三花だけじゃなく俺や凛太郎も上履きだ。もちろん他の人たちも昇降口からは出られなかったと思うから同じだろう。

「とりあえず靴を履き替えよう。このままじゃまともに走れないし、怪我をしたら危ないから」  

「あ、だったらこの近くにスポーツ用品店があるぜ。俺よく行くから道知ってる!」

凛太郎に付いていくと、五分ほどで店に着いた。

営業してるはずの店に人の姿はない。それどころか逃げてる最中も誰ともすれ違わなかった。

あの放送どおり本当にB組の生徒以外は避難してしまったようだ。

……こんなこと、ありえるのか? 

現実的に考えておかしいことばかりだけど、実際に鬼であるマリアにクラスメイトが人形にされてしまったところを目撃した。

本来体にタッチすれば捕まえたことになるはずだけど、マリアとの鬼ごっこは違う。

あの禍々(まがまが)しいノコギリで躊躇(ちゅうちょ)なく肉体を切られる。

殺人鬼と呼ばれているだけあって残虐な方法だ。
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