マリアちゃんと鬼ごっこ


「あ、靴あるよ!」  

三花が店の棚から運動靴を見つけた。オーソドックスな靴もあれば、アスリートが履くような高い靴も並んでいる。

「靴のサイズなんセンチ?」

「私は24センチ。永人は?」

「俺は27センチ。あ、これでいいじゃん」 

手に取ったのは白色の運動靴。値段もお手頃だった。

「なあ、これとか武器に使えそうじゃね?」

別の棚から顔を出してきた凛太郎は野球用の金属バットを持っていた。

スポーツ用品店だけあって、他にもサッカーボールやスノボーの板。普段目にすることが少ない弓道の竹弓や剣道の防具まで売られている。

もしもマリアに見つかった時には、こっちも身を守るものが必要になってくると思う。でも……。

「買うならいいけど、そうじゃないなら置いてこい」

「えーなんで? 誰もいないんだし、好きなもの取っていけばいいじゃん!」

「ダメだ」

強く言うと、凛太郎は「ちぇっ」と不満そうにバットを棚に戻していた。

俺たち以外の人がいないということは、物を盗んでも大人に怒られることはない。

実際に食料や武器は自分たちで手に入れろと書いてあった。

ということはマリアから逃げるために必要なものを揃えろということでもある。

だけど、好きなものを好き放題盗んでいったら、それこそ無法地帯と変わらない。

強制的に始まってしまった鬼ごっこだけど、常識的な考えは捨ててはいけないと感じていた。

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