マリアちゃんと鬼ごっこ
「……たしかにマリアちゃんは私たちの位置情報がわからないんだから、焦って追ってくることはないよね。まさか町の境目に監視カメラを設置してるわけじゃないだろうし」
頭のいい矢野も乗ってくれたことで心強くなった。矢野たちの制服が乾いてきた頃にはすっかり雨も止んでいた。
「おーい、嶋くん。いい加減に起きなよ」
「マリアちゃんが来たら殺されちゃうよー」
浜口と井上が凛太郎の体を揺すっている。もっと危機感があってもいいはずだけど、浜口たちにはまだ余裕がある。
クラスメイトが四人も死んでるというのにどこか他人事で、この状況をリアルに感じていない。
それを咎める権利なんて俺にはないけど、こういう時、日常生活ではわからない人間性が一番出るような気がする。
浜口たちの呼びかけに、やっと凛太郎は目を覚ました。
マリアはまだ駅周辺にいるようなので、遠い距離にいるうちに俺たちは区役所を出ることにした。
外は昨日と同じで閑散としている。
自分たちが立てる音しかしないことで、より聴覚が敏感になっていて、ふいに凛太郎がするあくびにも肩をすぼめてしまう。