マリアちゃんと鬼ごっこ
携帯ショップに置かれた無料充電スポットにはケーブルが四本しかない。よって充電できるスマホも四台と限られている。
今は瀧川、有野、高橋、牧田のスマホがケーブルに繋がっていた。
みんなの足がここに向いたということは、俺たちと同じように電池切れになったと考えられる。
フル充電するためにはおよそ二時間はかかる計算だ。この場にいる全員のスマホを復活させることになれば、かなりの時間を費やすことになるだろう。
ぐうう……。と、その時、獣の唸り声のようなものが聞こえてきた。ビクッと三花が反応したところで、「あ、わ、悪い。俺の腹だわ」と凛太郎が申し訳なさそうに言った。
考えてみれば最後に物を口にしたのは区役所だった。あれから30時間以上が経ってるし、体力だけじゃなくて空腹も限界にきてる。
「充電できる順番が回ってくるまでなにか食って待ってよう。たしか食品フロアが同じ階にあったはずだから」
腹が減っては軍は出来ぬって言うし、このままじゃ頭もうまく働かない。
「村瀬たち食品のほうに行くの? だっなら弁当類はやめたほうがいいよ。賞味期限過ぎてたし」
「えーでも腹痛起こしてトイレでマリアちゃんに襲われるっていうのも面白くない?」
「それヤバい! そんな死に方したら一生笑いもんじゃん!」
長沼の言葉に便乗するように牧田と保泉が加わった。
教室での風景を切り取ったかのように笑いを続けている牧田たちの神経が理解できない。
すでに半分ものクラスメイトが殺されたっていうのに、なんでそんなに平気でいられるんだ?
元々苦手なやつらだったけど、同じ空間にいたくないと思うほど嫌悪感が湧いていた。