いつか笑って話せるときがくる


自分の本心を話してなんだか恥ずかしくなって

私は下を向いていた。

開いてる窓から入ってきた心地よい風に思わず顔がほころぶ。

『気持ちいいね』

そう言おうと顔を上げた時

ユイの目に涙がたまっていることに気づいた。


「ユイ?」


「正直、今アイになんて言うのが正しいのか

なんて言ったらアイの気持ちが少しでも楽になるのか

私にはわからない・・

私たちは高校に入ってから出会って、親友になってからまだ1年とちょっとしかたってないけど、

学校では毎日一緒にいたし、家に帰ってもずっと電話してた。

なのに私はアイがこんなにもつらい思いをしてたなんて気づけなかった。

親友失格だよね・・・

でも、

アイは、人一倍思いやりとか気づかいとか本当にすごくて。

今だってこんなにうれしい言葉をくれて

私は何度もアイに救われてたんだよ・・。

アイ

つらいことがあったら何でも話して。

聞くことくらいしかできないかもだけど

それでアイの心が少しでも楽になるならいくらだって聞くから。


私はアイのことが大好きだから・・・・


どんなアイでも大好きだから。


だから、


アイはアイの心を一番大切に考えてね」



「ありがとう。ユイ」



零れ落ちる涙も気にせず、

お互いの背中をさすりながら私たちは泣き続けた。


それは、


今まで流してきたようなつらく悲しい涙じゃなくて


温かくて優しい涙だった。


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