パントゥーフル ~スリッパの乱~
「美樹、好きだよ
あのころよりもっと」
そして、文字の下には、浅いV字カットにメレダイヤが品よく並んだ指輪が顔を覗かせていた。
僕らの愛情は、ここからV字回復! そんな願いが込めてあるのは内緒だ。
ギュウと抱きしめる腕に力を籠めると、美樹の涙は本降りになった。
「し、真一さん……うわぁぁぁぁぁぁ」
よかった。僕の返事は、美樹の逆さま弁当に引けを取らない気持ちを伝えられたみたいだ。
彼女の背中を宥めるようにさすりながら、僕はこれまで感じたことがないほど優しい気持ちになった。