本能で恋をする~after story~
帰っても全く口を聞いてくれず、凛音の行くとこ行くとこついて行き、
「なぁ、なんで口を聞いてくれないの?」
「何、怒ってるの?」
「俺、なんかした?」

など、色々聞くが全く口を聞く気配がない。

凛音が、俺の目を見ない。口を聞かない。その事実が俺を苦しませる。
もうダメだ!
このままじゃ――――

「ねぇ!!凛音!!」
肩を持ち、無理矢理向かせた。
それでも目を合わせない。
頬を両手で挟み、こちらへ向かせた。

「え…?凛音…?」
凛音は目を潤ませていた。
「凛音…?どうした?何があったの?」

「“りの”って誰?」
「は?誰?それ?」
「それは、私が聞いてるの!」

え?ほんとにわからない。誰だ?
「凛音、ほんとに知らないよ。知り合いにいないし。だいたいどこで聞いたの?その名前?」
「昨日の夜、海斗が寝言で言ってた。“りの…好き”って!いつも、海斗が私に言ってくれるみたいに」

え――?マジ…?
「別にいいんだよ。海斗も元カノいた訳だし、海斗カッコいいし!夢に元カノ出ることあるかもだし。
ただ、私が嫌なのは、海斗が私に言うみたいに愛しそうに言ったから。今は私の海斗でしょ?」

「そうだよ。俺は凛音のモノだよ…!
でも、ほんとにわからないんだ。
あっ、ねぇそれって“りの、好き”じゃなくて“凛音、好き”じゃない?」
「え…?」
「俺、凛音の夢よくみるし。昨日も出てきたし」
「嘘だよ……」
「本当だって!って言っても証明しようがないけど……」
「“りの”と“凛音”?」
「似てるでしょ?」
「………」

みるみる内に顔が赤くなる、凛音。

「凛音?」
「ごめんね……海斗。またバカみたいなヤキモチ妬いちゃった」
「ううん。凛音のヤキモチ大歓迎。でも口聞いてくれないのは、ほんと堪えた」
「ごめんなさい」
「凛音…おいで?」
両手を広げると、すり寄ってくる。

よかったぁー。
本当、寿命縮まる―――――


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