都合のいい女になるはずが溺愛されてます
佐久間と付き合って1ヶ月経った。
これまでとは同じようにお互いの家を行き来する生活が続いて、その他は特に変わりない。
……いや、佐久間が惜しげもなく愛情表現するようになったのはビックリしてる。

そんなこんなで7月になって暑さが増した頃、夏休みに入った弟たちが東京に来るというので家で待っていた。

佐久間は先週から1週間大阪に出張に行っている。
さみしい、とは佐久間の前では言えないけど気が紛れるのでよかった。


『ねーちゃん、開けてー』

『お前声でかいって』


インターホンが鳴って、応答したら聞こえてきた弟たちの声。
ふふっと笑いながらオートロックを解除して玄関の前で待つ。
弟たちと会うのはゴールデンウィークぶりだ。


「ねーちゃん久しぶり、東京バリ人多くて疲れた〜」

「仁奈(ねえ)、1週間お世話になりまーす」


玄関を開けたら、双子の(るい)(れい)が大きな荷物を抱えて立っていた。
福岡からの長旅は疲れただろうな。


「いらっしゃい、お茶出すね。上がっていいよ」

「はーい」

「お邪魔しまーす」


でも足取り軽く靴を脱いで疲れを見せないところ、さすが体力の有り余ってる高校生だなと思った。
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