都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「付き合う前から互いの家行き来してたからいいだろ」

「はぁぁ?なんそれ初耳!」


佐久間がニヤリと笑ってそう言って、さらに類を煽る。
弟相手にマウント取るとか大人気ない……。


「ふーん、別にいいけど。長期休暇は全部こっち来てもらうけん。
だって彼氏より家族の方が大事やもんね?」

「あは、俺マウント取られてる?」

「類、性格悪いんです」


類が言い返すと、麗がすかさず口を挟んだ。
あ、これさっきのこと根に持ってるな。


「だからお前に言われたくないっちゃけど!腹黒のくせに」

「同棲するってことは結婚前提ですか?」

「えー、ガン無視?」


麗は完全にスルーして佐久間に質問している。
無視されて目が点になってる類が申し訳ないけどかわいい。


「うん、俺は来年には結婚したいって思ってるけど仁奈はどうしたい?」

「え、っと……そうですね、来年には」


佐久間に結婚したいと直接言われて恥ずかしくなってうつむく。
同時に結婚を前提に、とは言ってたけど本当に考えてるんだって嬉しくなった。


「やっぱり俺佐久間さんのこと嫌いです」

「ははっ、冷めたリアクションが仁奈の弟って感じだわ、ウケる」


そんな私たちの雰囲気が気に食わなかったのか、麗の抑揚のない声が後ろから聞こえた。
なかなか辛辣な弟たちだけど、佐久間は終始ご機嫌だった。
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