都合のいい女になるはずが溺愛されてます
あー、飲みすぎた。
仁奈を混じえて楽しく飲んだのはいいが、店を出たあとの記憶がまるで無い。

二日酔いがひどくておかげで土日はダラダラする羽目になったし。
休日が潰れたのは惜しいけど、二日酔いを口実に仁奈に甘えることができたからいいとする。


「あ、岡田。この前のプレゼンだけどさぁ」


いつも通り出勤して、岡田を見つけたから近づいて話しかけたら誰かと話している最中だった。
ふわふわのスカートが似合う童顔。
うげ、広報の新卒じゃん。今度は岡田を取り入ろうってか?


「っ……おつかれさまです」

「ん?おつかれ」


俺と目が合ったら悔しそうな顔をして退散した。
は?俺なんもしてないけど。
まさかまだ未練タラタラなワケ?


「なんか彩乃ちゃん、ぎゃふんって感じっすね」

「は?」

「先週飲んだ時の投稿見たらしくて『佐久間さんの隣にいた人って誰?』って聞いてきたんです」


意味不明だと顔をしかめたら岡田が説明してくれた。
あー、インスタで繋がってたのね。


「あれ遠藤さんですよって答えたら露骨にショック受けてて」

「なんでショック受けんの?」

「勝手に別れたって思ったらしいです」

「そこまで甲斐性なしじゃねーわ」


別れたからって振り向いてもらえると考えるあたり脳内お花畑だな。


「あと勝ち目ないって思ったんじゃないですか?
遠藤さんメイクしたら綺麗ですよね〜って言ったら目が泳いでましたもん」

「当たり前だろギャップで仁奈に勝てる女いねえよ」


それにしても職場で仁奈のことを気軽に話せるようになったのはいいな。
そこだけはあの新卒に感謝しないと。
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