都合のいい女になるはずが溺愛されてます
佐久間にプロポーズされた2週間後のこと。
その日は急遽、佐久間のお姉さんが経営するカフェにお邪魔することになった。

閉店時間を早めてわざわざ会ってくれるそうだ。
お姉さんに会うのはこれが初めて。
ドキドキする、なにせ佐久間に強烈なビンタをかましたお姉さんだから。

気が強そうだな。それに自分のかわいい弟が結婚するんだから、敵対視されてそうで怖い。


「仁奈がガチガチに緊張してんのウケる」

「……ウケません。必死なんですよこっちは」

「ウチの姉ちゃんは大丈夫だって。基本温厚だから」

「その『基本』ってのが怖いんですよ。うう、ドキドキする」

「大丈夫だいじょーぶ、じゃあ開けるねー」

「あっ、ちょっと待って」


待ってと制止した私の声を無視してドアノブを掴んだ佐久間。
closeと書いてある札がかかったドアを開け、仕方ない、腹をくくろう。いざ対面だと意気込んだ。


「姉ちゃん、来たよ」

「あら〜いらっしゃい」


が、ドアを開けるとそこに居たのは細身で背が高い美人。
タレ目が特徴的な顔立ちですっごい優しそう。
え?こんなふわふわの癒し系女子が佐久間をビンタ??
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