都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「カニ、カニ〜」


いつかの佐久間が歌ってた即興カニソング。
ふと思い出して歌っていたら、後ろから「ぶはっ」と笑う声が聞こえた。


「仁奈ちゃん今日もかわいいね」

「だって念願のカニですよ、楽しみです」


今日は佐久間とカニ食べ放題のお店に行く。
ルンルンで支度した所を見られたのはちょっと恥ずかしいけどまあいっか。


「佐久間さん、ついでに後ろのボタンとめてくれません?」

「えー、まだ『佐久間さん』なの?仁奈も佐久間ですけど〜」

「あ……」


佐久間さん、と呼びかけたら顔をしわくちゃにして嫌がられた。
仕方ないじゃん、入籍したのはつい最近だし。
つい呼んでしまうのは許して欲しい。


「陸、手伝って?」


改めてお願いするとなぜかびっくりした顔をする佐久間。
すぐ表情を改めて「仕方ねーな」と手伝ってくれる素振りを見せたけど、私の後ろに立つとなぜか固まった。
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