2番目の恋
一緒に私のアパートまで帰る。
やっぱり、こうやって3人で会ってる時間が好きだった。

笹崎のことも好きだった。

駅から伸びるただの川沿いの道も、幸せに感じる。
何でもないけど、夕焼けが綺麗だったり、咲良が歩きたがることに笹崎が付き合ったり、そんな当たり前のことが幸せに感じる。

咲良のことを笑顔で見つめる笹崎が好きだった。

ゆっくり歩いてたはずだけど、あっという間にアパート前に着く。

笹崎も上がってくもんだと思っていたけど、咲良を部屋に上げてベビーカーを折り畳んで玄関に置くと、笹崎が立ち止まった。

「上がらないの?」

私が聞くと、表情が硬くなった。

「うん、今日はずっと言おうと思ってたことがあったんだよね。」

あ、くる。
その表情から感じた。

と、強く腕を引かれる。
そのまま笹崎の胸に抱き寄せられた。

苦しい。

「やっぱり俺、美織のこと好きだよ。」

耳元で響く笹崎の声。

私の2本の腕は笹崎の体に回すこともできず、ただ宙ぶらりんと肩からぶらさがってる。

「でももう今日で諦める。」

えっ。

頭が真っ白になった。

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