2番目の恋
甘い夜
静かな夜。

咲良と簡単な夜ご飯を食べた。

咲良と小さなお風呂に入った。

咲良と絵本を読んだ。

今まで咲良と私、2人で当たり前だったのに、不思議だけどすごく静かに感じる。

笹崎と会う前までは、咲良が大人になるまでこうやって2人で暮らすんだと思い込んでいた。

これ以上の幸せなんて贅沢だ。

隣で絵本を見てる咲良の顔を見て思う。

隣に咲良が居てくれれば、それでいいんだ。

そう思うのに、胸が押し潰されたように苦しい。

笹崎と会わない生活が当たり前だったのに。

「咲良、もう寝るよ。」

私はまだ少し早い時間なのに、電気を消した。
部屋が暗くなった途端、涙が溢れてくる。

咲良の前で絶対に涙は見せないと思ってたのに。

ボロボロ溢れてくる涙が目尻から垂れる。

笹崎に会いたい。
今日の水族館が最後だなんて思わなかったよ。

本当はずっと一緒にいたい。
一緒に住みたい。

笹崎が咲良の父親だったら、と思わない日がなかった。

笹崎と会うようになってから、会えない夜が寂しい。

眠りかけていた咲良が突然ハッと起きる。

「まーま?」
「大丈夫だよ、ママいるよ。」

そう言うと、咲良はギュウッと強く抱きついてきた。

大丈夫だよ、ちゃんといるよ。

小さな頭を撫でる。

笹崎は私と同じように咲良のことを大切にしてくれるかな。

私以上に咲良を愛してくれるかな。

自分と血の繋がりのない子をどこまで愛してくれるんだろう。

ずっと、ずっとそんなどうしようもないことを私は考えていた。

咲良がやっとスヤスヤと眠りにつく。

起こさないように注意しながらゆっくり上体を起こした。

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