2番目の恋
私はぼんやりとした頭のままローテーブルの上のスマホを手に取る。

一番上に出てくる笹崎の名前。

手が止まる。

私はどうしたいんだろう。
もう今日で会うのをやめよって言われたばっかりなのに。

もう笹崎の中では終わったことかもしれないのに。

でもこのまま別れるのは嫌だ。

静かに受話器のボタンを押した。

2回の呼び出し音。

「はい。」

低い声の笹崎が出た。

「ねえ、笹崎・・・」

気付いたら私の口から気持ちが溢れていた。

「笹崎のことが好き。」

電話の向こうが静かになる。

「笹崎に会いたい。」

ああ、もうこんなこと言っても無駄かもしれない。

そう思うと胸がキュッと痛んだ。

長い沈黙。
8時半。

ああ、もう笹崎の心は私にないんだ。

そう思った時、笹崎は静かに「分かった。」と言った。
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