1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ


菜々美が家に着くと庭でリフティングをしていた

「海斗くん、ランニングを脱線させてごめんね
凄く2人が楽しそうでよかった」

「お姉ちゃん、お姉ちゃん!明日もお兄ちゃんが教えてくれるって」

「えー、迷惑じゃない?」

「全然暇だし(笑)」

ニカッと健に向けて笑う



「昼から来るからな、勉強終わらせとくんだぞ」

「うん!」

クラスのグループLINEからお互い追加して連絡先を交換した

家を出る前にLINEするということだった

海斗くんは2人に手を振って走って帰っていった


それから健くんは海斗くんのことばかり誉めて話してくれた

私では相手不足だという事もわかってたし、ちゃんと勉強も何も言わずに済ませていた

いつもゲームばかりしている健くんが前に買っていたサッカーの本を読んでいた

海斗くん1人でこんなに変わるもの?

でも海斗くんが部活に入るとできなくなる
ちゃんと言い聞かせておかないと……



次の日、海斗から今から家を出るとLINEが入った

健くんのリュックにお茶とタオルを入れて準備を始める

大きめの水筒に海斗くん用のコップも入れた

「ねえ、お姉ちゃん、琴は行ってもいいの?」

「琴ちゃんはお姉ちゃんと蒸しパンを作ろうか」

「チョコの蒸しパンがいいー」

「うん、帰ったら食べてもらおうね」

暫くすると健くんから声がかかった

「お姉ちゃん、来たよー」

「はーい」

エプロンをしたまま玄関に出る

「走ってきたの?」

「うん、30分かかったな
でも休まずに走れたから俺のリハビリの距離くらいでちょうどいいかも」

「じゃあ、いってきまーす」

2人は昨日の土手に出かけた

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