1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ


台所では琴と蒸しパンを作っていた

「琴ね、あのお兄ちゃん好きー」

「昨日会ったばかりなのに?」

「だって、優しくてかっこいいんだよ」

小学1年生からかっこいいなんて言葉がでるとは思わなかった

自分があまりいわゆる推しとか好きな芸能人とかがいないからかっこいいなんて言葉は今までに使ってこなかった

友達にもそういえば興味ないの?とか聞かれたことはあるけど、高校1年の私でも無いのに琴ちゃんは素直に言葉に出せるのか……

美咲はよく言ってるなあとは思うかな?

蒸しパンも出来上がって洗濯物をベランダで片付けていると海斗くんと健くんの姿が見えた


下に下りて玄関を開ける

「おかえりなさい」

「ただいまー、楽しかった(笑)」

「よかったね、海斗くんありがとう
どうぞ上がって」

「もう、夕方だから悪いよ
忙しいだろ?」

「琴ちゃんと蒸しパン作ったの」

バタバタと琴ちゃんの足音がした

「お兄ちゃんー」

海斗に飛びつく

「あのね、琴ね蒸しパン作ったの、食べて」

「じゃあ、お邪魔します」

台所へ行き琴は海斗の膝の上に乗ったままだ

「琴ちゃん、下りないとお兄ちゃんが食べれないよ」

「琴が食べさせてあげるの、あーんして」

海斗くんが私を見た

ごめんねと両手を合わす


海斗くんは口を開けて琴ちゃんの言うことをしてくれた

「琴ね、お兄ちゃん好き!ちゅっ」

「こ、琴ちゃんたら……ごめんね海斗くん」

「いや、ありがとう琴ちゃん(笑)」

海斗は琴の頭をなでた

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