夜の和音 〜ヨルノオト〜
第一章
ボクらの時間

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「君たちはまた他校の生徒と絡んだのかね!全く……何故まともな学校生活を送ろうとしないのだ!」

暖かい春の風が吹き始めた頃、私たちは高校2年生へと学年がひとつ上がった。

昼休みの時間に校長に呼び出された私たちは校長室へと向かい、いつもの説教を受ける。
呼び出される度この校長は同じ話しかしない。聴いている私たちも飽きてきた。

「校長〜、まともな学校生活って何?これが俺らのま・と・もな学校生活なんだけど?」

玲音は校長室にあるソファーへ腰掛けながらそう尋ねる。

「君たちのまともは私たちに通用しない。…………君たちはいつになれば常識というものを学んでくれるんだ?もっと真面目になってくれないか……。」

「あのさぁ、あんたらの常識っていうもんを押し付けられてもこっちにはこっちのやり方があるんだよ。…………私は他人の常識を押し付けられるのが1番嫌いなんだよ。……いい加減分かってくんない?校長先生。」

「はぁ…………。」

校長は呆れるように手を額にあて天井を見つめる。

「…………星空くん……君は成績優秀なんだ……。不良なんかになってないでこの学校の為に真面目に勉強してくれないか?将来だって君の学力ならいくらでも良い学校を紹介できるさ。…………冴綺くん、君だってスポーツ万能だ。……他の運動部からの誘いもあるだろう……真面目に学校生活を送ってくれれば君の将来も安泰だ……。………………私たちはこれだけ君たちの事を考えているんだ。少しは考え直してみてくれないか?」

名前をあげられた私と千空は黙った。
勿論将来の事を考えてくれるのは有難い。将来の事も考えてこの高校を志望したんだ。だけど今は違う……。ここで私がする事は颯人の傍に居ること。ただそれだけだ。だから不良を辞めることは絶対しない。どれだけ人生がダメになろうとここで颯人と離れてしまったら……颯人がダメになってしまうから…………。

「無理だね……。私たちが不良を辞めることなんて絶対しないよ。…………じゃあね、校長。」

魅月はパーカーのポケットに自分の手を入れ、1人で校長室を後にした。
私たちも魅月の後を追うように校長室から出ていく。

扉を閉めようとした時、校長が後ろにいた柊木先生に何かを呟いていた。

「柊木先生、あの子たち頼みましたよ……。もう問題を起こさないでくれ……。」

「はい。……すいません俺の力不足です。」

私は聞かない振りをし、その場から立ち去った。






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