きみはカラフル




「ええと……雪村さん?ちゃんと意味が通じてるかな?」

直江さんの戸惑いは、つまりさっきのセリフが無意識に吐いてしまったものではなく、意図してそう口にしたものだったという証で……
わたしはもう、あんなに気にしていた直江さんの()がどうなっているかなんて気にもできないくらいに、胸が高鳴っていた。
事実、溢れてきた涙のせいで視界は潤んでしまい、目に映る景色は曖昧に溶けていく……

こくん、と頷いたわたしは、


「わたしも、好きです………」

そう返すのが精いっぱいだった。

急に泣き出したわたしを周囲の視線から隠すように、直江さんが表通りに背を向けて盾になってくれる。

俯いて嬉し涙が止まるのを待っていたわたしの目に入ったのは、手の中の小さなマグネットの虹だった。


こうして、この夜から、わたしと直江さんは恋人同士になったのである。





けれど、思ってもいなかった展開は、わたしから冷静さを奪っていたのだろう。
いつもなら、もしかしたら違和感を覚えたかもしれないあることに、まったく気付くことがなかったのだから。

それが違和感としてわたしの前に姿を現すのは、もう少し、時間が経ってからのことだった………















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