今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます
たかがクズに捨てられただけで人生に絶望するとか、馬鹿らしすぎる。今までのことを鑑みても私はどう考えても悪くない。悪いのは全て公爵であり、そして婚約者に誠実でなかった王太子でもある。ミレーヌは純真さを装ってはいるが姉の婚約者を奪うことに何の罪悪感も持ってないことから同じことだろう。

しかもそれが無自覚だというのだから末恐ろしい。この子は近いうちに破滅していただろう。私がいなくとも。

目が覚めると、どこかスッキリしていた。

今まで考えていたことがひっくり返ったというか、視野が広がったというか。何か、すとん、と胸に落ちていたのだ。

「………私、何を考えていたのかしら」

ばっかみたい。あんなクズに捨てられたところでどうして悲観しなければならないのか。むしろ捨てたことを後悔させてやる。公爵もミレーヌの母も私のことを馬鹿にしているが、知らないのだろうか。今の国防は私の力に全て一任されているということを。

たんこぶができた頭がズキズキと痛む。私はそれを抑えながら呟いた。

「婚約破棄?好きにすればいいじゃない。私も好きにするから」

そうして、私は婚約破棄の場へと臨んだのだった。

そして場面は冒頭へと戻る。
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