愛され、溶かされ、壊される
竜くんのちょっと強引な言い方に、しかたなく居場所を伝えた。
とりあえず、チョコをバックの中に入れておかないと。
幸いバックに入る位の大きさだ。

竜くんは、20分程でデパートに着いた。
私はデパートの入口で待っていて、
「あおちゃん!!」
と、竜くんは私を見つけ駆け寄ると力いっぱい抱き締めたのだ。

「竜くん、恥ずかしい……」
「ダメ。僕に黙って出かけた罰」

ひとしきり抱き締めると、
「あおちゃん。帰ろう!」
と手を握りポケットに入れた。
「あおちゃん今日は家で用があるって、言ってたのにどうして?それに服は?」
「あ、えーと、欲しかった服売り切れてたの。来て損しちゃった」
と微笑むと“可愛い”と言って空いている手で私の頬を撫でた。

竜くんとこの一か月、平日は毎日一緒に会社に行き、休日は一緒に過ごしていた。
映画や、ショッピング、水族館など。
ずっと前から付き合ってたような、凄く濃い一か月だった。
そして今も、私を頬を愛しそうに撫でる。
そこあとはきっと――――
「あおちゃん、キスをしよ」
やっぱそうだ。

「ンンン……ふぁ…や…くる、し…」
と苦しくて、甘いキスをするのだ。
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