コントラストグラデーション
序章
どこからぼくの日常が崩れ始めたのだろうか。
生きていてよかったと思える日はなく、逆に死にたいとだけ思えるような日常であったがそれでもそれなりには平和に生きてきたつもりでいた。
なのになんでぼくは君が今まで生きていた証明である朱色がこびりついたナイフを握りしめているのだろうか。握りしめたまま頬に生温かい塩っぽい水が流れているのだろうか。
「どこでこうなったんだっけ」
ぼくは朱色の溜まりの上に寝そべって二度と目を覚まさない君を横目に呟いた。
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