お願い、名前を呼んで。
「では何故、決められもしないのに、一人でここへ来た。これでは、私の忙しい時間を割いた意味がないじゃないか。女性は、コスト管理が甘くて困るよ。別の業者に変えてもいいんだが。」

十分な脅しじゃないか。
これを脅し以外に何と言うのだろう。

「私の力不足で申し訳ありません。内田様は、出張から、いつ、お戻りになりますか?それまでには必ず、ご返答させて頂きますので。」

「仕方ない。では、今週中だけは時間を伸ばそうじゃないか。私は来週の月曜日には出張から戻ってこちらに出社する予定だから、必ず、月曜にはいい返事を聞かせて貰うよ。」

「お時間を頂き、ありがとうございます。」

私は、深々と頭を下げ、悔し涙を必死に堪えた。

ここで涙なんか見せたら負ける。
女だからだと馬鹿にされる。

そんな事、絶対に許されない。

一緒に頑張ってくれているプロジェクトメンバーの顔が、頭に浮かんだ。

私一人の問題じゃない。
皆んなの今までの努力を無駄にはできない。
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