夏の花火があがる頃
お盆休みは、悠也の部屋でほとんどの時間を過ごしていた。
まるで逃げるためだけの駆け込み寺だった。
悠也は泣き腫らした目をしためぐみを見ても、何も言わなかった。
柏木から連絡は来ていない。
当たり前だ。
愛想を尽かされてしまったのだから。
離れた方がいいと思っていたはずなのに、いざ離れてみると後悔ばかりが募ってしまう。
結局、慎吾の時と同じだ。
相手を不安にさせて、失望させて、傷つけただけだ。
いつになったら成長できるのだろう。
「なあ、めぐみ」
「……」
「暇だし、旅行に行かないか?」
唐突に悠也が言った。まるで思い立ったような表情を浮かべていた。
「……うん」
「本当に?」
「うん。いいよ」
貯金の残高を頭の中で計算しながら、めぐみは頷いた。
東京から一旦離れてみるのも悪くないのかもしれない。
「行きたいところがあるんだけど」
「どこ?」
「北海道」
「え……」
「めぐみの生まれ故郷でしょ?俺行ってみたい。慎吾も連れて行こうぜ」
慎吾の写真を出して、悠也はめぐみに「慎吾の旅費は俺が出す」と笑った。
捨てたはずの故郷に戻るなど、考えたこともなかった。
「……」
「お前ら、ちゃんと話をしてないから、そんなことになってんだよ。場所変えて、少しリフレッシュしようぜ」
まるで逃げるためだけの駆け込み寺だった。
悠也は泣き腫らした目をしためぐみを見ても、何も言わなかった。
柏木から連絡は来ていない。
当たり前だ。
愛想を尽かされてしまったのだから。
離れた方がいいと思っていたはずなのに、いざ離れてみると後悔ばかりが募ってしまう。
結局、慎吾の時と同じだ。
相手を不安にさせて、失望させて、傷つけただけだ。
いつになったら成長できるのだろう。
「なあ、めぐみ」
「……」
「暇だし、旅行に行かないか?」
唐突に悠也が言った。まるで思い立ったような表情を浮かべていた。
「……うん」
「本当に?」
「うん。いいよ」
貯金の残高を頭の中で計算しながら、めぐみは頷いた。
東京から一旦離れてみるのも悪くないのかもしれない。
「行きたいところがあるんだけど」
「どこ?」
「北海道」
「え……」
「めぐみの生まれ故郷でしょ?俺行ってみたい。慎吾も連れて行こうぜ」
慎吾の写真を出して、悠也はめぐみに「慎吾の旅費は俺が出す」と笑った。
捨てたはずの故郷に戻るなど、考えたこともなかった。
「……」
「お前ら、ちゃんと話をしてないから、そんなことになってんだよ。場所変えて、少しリフレッシュしようぜ」