白き髪のガーネット【改訂版】

ミラーー。

桃色の髪に瞳の、6つ年上の彼女は物心ついた時から側に居てくれた。だから最初は、本当の姉に抱くような、家族のような感情だったと思う。

その存在に、初めて胸のときめきを覚えたのは俺が6歳の時。
大好きだった母上が亡くなって、胸が痛くて苦しくて……。でも、父上や周りの目を気にして泣く事が出来なかった。
そんな俺に唯一気付いてくれたのがミラ。

「いいのよ、泣いても。
……ほら。こうすれば、誰にも見えないわ」

そう言って、自分からも俺の顔が見えないように抱き締めてくれて……。泣き止むまでずっと、離さないでいてくれた。

ちょうど俺と同じ年頃に母親を亡くしていた彼女だから、誰よりもその辛さを分かってくれただけかも知れない。けれど俺にとっては、きっとこの瞬間が特別だった。
ようやく涙がとまって見上げた先にあったミラの優しい笑顔。それは、女神と言っては過言ではない程に美しく映った。

こんなに、綺麗だったっけーー?

何故だか急にさっきまで抱き締められていた事や顔を間近で見合わせているのが恥ずかしくなって、俺の胸はドキドキと鼓動を高鳴らせていた。


しかし。新たな感情が芽生えてしまった事は、俺にとって良い事ばかりではなかった。
ミラの為に強くてカッコ良い男になりたくて、勉強や戦への鍛錬により一層励みを出せるようになった反面、彼女を異性として意識し始めた事で以前のように接する事が出来なくなってしまったんだ。

年齢を重ねる度に、それはどんどん増していくばかりで……。それでもミラは「もうっ」て言いながらも、俺の世話を焼いて、側に居てくれた。

俺は、その優しさに甘えていた。
彼女が俺から離れる日が来るなんて、全然想像していなくて……。毎日を当たり前のように思っていた。
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