片翼を君にあげる①

直後に扉がガチャッと開き、コツッと応接間に踏み込む革靴の音が小さくした。
扉が閉まり、入って来た人物が私の背後で口を開く……。

「ーー失礼致します。
お初にお目にかかります、サリウス様」

ーーえっ?
この、声……は、……。

私がその声を、聞き違う筈がなかった。
驚きで、声が出ない私がゆっくりと顔だけ振り返ると……。そこに居たのは、白金色の髪と瞳。左目には眼帯をして、細身の黒いスーツに身を包んでえんじ色のネクタイを締めた、正装のツバサ。

「私は夢の配達人、銀バッジのツバサ。
ヴィンセント様に代わってお話させて頂く事をどうぞお許し下さい」

状況が読み込めず、心の整理がつかないままの私。
けれど、胸に手を当ててサリウス様に頭を下げる彼の姿を目にして、高鳴る胸を、私は抑えきれなかった。
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