カレシとお付き合い 番外編2


大学についた。
紬ちゃんと同じ講義。

約束の席で、お互い手を振る。

会ってすぐ、今日の占いの話をした。
でも、3日前の森くんを見かけたことは言えなかった。

紬ちゃんも全然占いは見ない。
けど、私が泣きそうで、切羽詰まったかんじだったんだろう、心配してくれて、


「そーだ! 」


と言いながら、今どきなファッション誌をカバンから出してきた。


「珍しいね、紬ちゃん」
「ちょうどゼミの友達に、さっきもらったんだ」


紬ちゃんは大学に入ってから、すごく洋服や身なりに気を付けている。
彼氏の辻本君がカッコ良くて、すごくモテるから。
彼は『そのままでいいよ』なんて言ってくれてるけど、そんな訳にはいかない。
気をぬいてなんていられない。

それは私も同じ。

付き合ってる人。
私の大事な人。

森君もモテるんだ。

カノジョは私のはず⋯⋯ がいても、女子達のあからさまな攻撃は止まない。

平気で略奪しにくる。

私達、外見も内面も頑張らないといけないんだ。
彼に釣り合う女性になりたいから。

さて、そのための教科書、ファッション誌だけど、紬ちゃんは、さーっと1番後ろのページとかを開いて、2、3枚めくったら、

星占い⋯⋯ 。

詳しい運勢が、細かい字で書いてある。


「紬ちゃん⋯⋯ 」
「そう、ここ!
杏ちゃん! しっかり目を開けて、対策を練るのよ! 悪い運勢に負けないように! 」


また、悪いのかな⋯⋯ 。

こんな詳しそうな、ちゃんと根拠のありそうな、理論的な⋯⋯ 。

さっと1番下の順位の星座を盗み見た。

うっ⋯⋯ 。

まさかの結果。
やはり最下位。

うそでしょ⋯⋯ ?

私の表情で、紬ちゃんは、分かったみたい



「杏ちゃん、まさか⋯⋯ 」


2人でじーっと、最下位の星座、私の星座だよ、の欄を読む

女性誌だから、説明も恋に特化してる訳だけど、うっ⋯⋯ 『彼氏に裏切られるかも』『パートナーの浮気に注意』『嘘を見極めましょう』
だとか、かとか、書いてあるよ⋯⋯ 。

落ち込んでたら、横で紬ちゃんも真っ青になっている。

あっ、と思って、紬ちゃんの星座を探す⋯⋯ ありました、最下位の真上に⋯⋯ 。
11位。
『彼氏と上手くいかなくなって、別れるかも』『離れると心も離れます』だって。
最下位の私と、どっちがマシ? ってかんじ。


「紬ちゃん⋯⋯ 」
「杏ちゃん⋯⋯ 」


なんか、2人とも泣きそうな気分。
紬ちゃんが、


「離れると心も離れます、だって、私、辻本くんとしばらく会えてないのに」


と小さい声で言った


「紬ちゃん、私もだよ。森くんが実験ばっかで、全然時間ないの⋯⋯ 会ってもらえない、ううん、こんな事言っちゃいけないよね! 会う時間がないんだよ⋯⋯ 」
「どうしよう」


と紬ちゃんがもっと小さい声で言った。

2人とも立ち上がった。
無言でわかり合う、私達。

黙って荷物をまとめて戸口からでた。
まだ、講義は始まってないけど、そろそろ時間だから、教室に入ってくる生徒ばかりの中、私達は逆向きに出て行く。

講義をぶっちして、会いに行くしかない。

チラッとでもいい。

私の、紬ちゃんの、カノジョの存在を、ちゃんと焼きつけに行こう!



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