カレシとお付き合い 番外編2





「⋯⋯ ねぇ、」

「⋯⋯ ちょっと、ねぇってばっ! 」


キツい口調にはっ、とした。森君を堪能していて、すっかりどこで何してたか忘れてた。

至近距離、あの綺麗なお姉さんの顔。
森君の胸で抱かれたまま、少し顔を上げたら、美女に覗き込まれていて目がバチッと合う。


「あら、かわいい。
あんた、趣味いいじゃない。
この子が? 」
「触らないでください」


と森君が冷たく言った。


「だって、私の将来がかかってるんだから!
何がなんでも、ストレート、もしくは飛び級ならなお、よし! さっさと医師免許とってよ」


将来? 医師免許?



「「「あんた、何、サボってんのよ! 」」」
「「「私たちの将来! 」」」


と後ろからも騒がしい声がした。

(えっ? )

って振り返ったら、

(うわっっ)

まぶしい、

迫力美女が3人!


さっきからいる美人さんと同じレベルの、美女4人に取り囲まれる。



「だって、お飾り院長でも医師免許ぐらいはなきゃね」

「父じゃぁ、もう、おじいちゃんだから、早く医院のパンフレット変えたいのよ。イケメン美容整形医院長」

「あんた、無駄に顔だけはいいんだから」

「なんで、末っ子なんだろ。
あーあ、順番がね、どうせなら一番先に生まれてよ。
モデルは年齢も大事なのよ! 何年待たせるのよ、早くパンフにのせてよー、老けるー」

「昔から血が怖いびびりのあんたなんて、執刀は無理でしょ、手術はまかせてよ、手術たのしみ! 」


「「「「だから、早く!
飛び級してもいいから!
免許だけ取れ!」」」」


もしかして。

森君をみたら、苦い顔⋯⋯ ?
深くため息をついた。


「姉なんだ⋯⋯ 4人とも」


おねえさん!

と私は唖然とした。

みんな、美人すぎ!
森君レベル!
キラキラで目がやられる!
眩しいよ!
驚いて4人を見上げて、目がクラクラして口が開いちゃう。

お姉さん達も。じっとりと私を見下ろす。


「長女で病院の事務長、次女で手術好きの美容整形医、三女の食事管理ダイエットプランナー、四女はモデルで広報、渉外、営業⋯⋯ 」


と森君が順に紹介してくれた、ため息をつきながら。


「後はあんただけよ」


と低い声で姉1が言った。


「もう新医院の壮大な計画は出来上がってるのに、あー、もどかしい! 」


と姉2が言った。


「アンジュちゃんもそう思うでしょ? 」


と姉3が言った。


「あとは、若き医院長のオレ待ちってこと⋯⋯ だろ? 」


森君がため息をついた。


「無能でいいのよ、顔が良くて愛想良ければ。得意の八方美人を最大限にいかして」


と姉4が言った。


「ほら、儲かれば儲かるほど、この子も幸せに出来るじゃない。あんたのアンジュちゃん」

「言われなくても、そのためだ、け、に、頑張りますよ。
あんじゅのため、だ、け、に! 」


森君が私をじっと見た。


「こんな時だけど、一生を誓うよ、
あんじゅ、」


森くん⋯⋯ 。

森君に熱く見られて、ごめん、感動しちゃった。
森君に一生を誓われて、泣きそうになっちゃった


「私も、誓うよ、森くん!
絶対、大丈夫だよ!
森くんのために生きるよ、私!
一生だよ! 」


「ですって」とお姉さん達がニッコリと笑った。


「医院長のお世話と愛に根ざす『やる気管理』ってとこかしら? 」


妙な連帯感が、お姉さん達と私の間で流れる。
今この場で、奇しくも一致した、同じ将来の同志なんだ、森君とお姉さん達と私⋯⋯ 。

女性みんなで森君を見た。


  私たちみーんなの将来は、ぜーーーんぶ和慎にかかってるんだから、


  ねっ



✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
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