トンネルの向こう側
「将大は、もうあっちに家がないんだよね。」

「うん。自宅兼店舗は取り壊して今は、空き地みたいだわ。」

「お父さんのお墓は?」

「父さんの49日法要が終わらないうちに住込みの部屋を引き払わなきゃいけなくて、母さんをマンションに連れて来たし
父さんも次男でさ、母さんとも相談して、
オレたちが、お墓参りしやすいように宗派を問わない納骨堂へ入れたんだわ。」

「そっかぁ。じゃあ、何か用事がない限り地元へは行かないんだねぇ〜」

「そうだな…
でもさやか!
俺たちが結婚したら、何度も行くと思うぞ!」

「ありがとう。 クラス会も今度から2人で行こうね!」

「ああ。 でも… 野球部だったヤツとかさやかのファンに虐められるかも〜オレ〜」

「え〜そんな男子いないよ〜」

「オイ!浮気は絶対に許さないからな!」

「私を誘惑するような人なんかいないって〜ハハハ! 心配し過ぎ〜」

「さやかさ〜 全然わかってないなぁ〜
だから友貴のアプローチもわからなかったんだなぁ〜 天然で心配だわ」

「え! 天然? そんな事ないよ!」

「まぁ〜友貴もそうだけど、変な男について行くなよ!」


「もう〜 小学生じゃああるまいし〜大丈夫! すぐに将大に電話して助けてもらうから〜」

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