トンネルの向こう側

さやかside

江口 さやか 

私は、高1から好きな男子がいる。

バスケ部の河田君だ。


彼はワイルド系で学年でも凄くカッコイイから人気があった。

ちょっと怖そうな感じなのだが1年の時、昼休みパンを買いに売店へ行ったが先輩達の勢いが凄くてパンを買うのにもみくちゃになってた私に
「何パン欲しいの?」  

「コロッケパンと焼きそばパン!」
と言うと、
私の分も買ってくれたのが河田君だった。

「もみくちゃにされてたけど、大丈夫?
ハイ!コロッケパンと焼きそばパンね!じゃあね〜」

「ありがとうございます!」

ハハハ!と笑いながら他の男子と売店から行ってしまった。

自分の教室へ戻ってからお金を渡してないのを思い出した!

それからお金を返そうと河田君を探してみるが、いつもたくさんのバスケ部員や女子たちに囲まれていているからなかなか話し掛けられずじまい…

3年になって同じクラスになってからやっとあの時のお金を返すと、

「え? 1年の時の売店? 
そんな事あったかなぁ〜でもサンキュー」
と、全く私の事を覚えていなかった。

私なんか、河田君に寄ってくる可愛い女子から見れば霞んでるもんなぁ〜…

でも、クラスの席が近くて水谷君が河田君の席にやって来ては私にも話しを振ってくるようになり、
何故かテスト勉強を一緒にする事になった。

私にとっては、ドキドキワクワクの日々だった。

3人共都会へ進学し、いつも水谷君からの連絡で3人で会うようになる。

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