契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 その瀬名を渚は追及した。

「この年になって彼氏のひとりもいないなんてって、馬鹿してるんでしょう」

「してないって!」

 瀬名は即座に否定をする。だがあいかわらずその表情は楽しげだった。
 渚はますます憮然とした。

「絶対にしてます……。そりゃ女優さんだってアナウンサーだってよりどりみどりの瀬名先生からしてみれば、私みたいな人間、古代人に見えるかもしれません。でもずっと女子校だったんだから仕方がない部分もあるんですよ。それなのに……」

 再びぶつぶつと言う渚に、瀬名が堪えきれないというように吹き出して、口もとを抑えて肩を揺らして笑いだす。そして憮然とする渚を心底おかしそうに見た。

「古代人って……! くっくく。本当に意外だな佐々木さん。こんな子だとは思わなかった。事務所でもそうしてたらいいのに」

 笑いが止まらない瀬名を睨みながら、渚は気楽に言ってくれるわと思う。そしてそれがそのまま口から出てしまう。
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