契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 まさか瀬名が祖母の店を知っていたなんて……と、渚の胸が熱くなる。
 それと同時に心の中にあった驚きと彼へのわずかな疑念の気持ちが綺麗さっぱり吹き飛んだ。
 もしかしたら今日の瀬名とのお見合いは、『渚がここを継いでくれるまでは、おばあちゃん踏ん張るからね』と言っていた今はもういない祖母が遺してくれた最後のプレゼントなのかもしれない。

「瀬名先生」

 溢れそうになる涙を堪えて渚は瀬名に呼びかけた。

「祖母の話を聞かせてくださって、ありがとうございます」

 そしてジッと彼を見つめて、決意の言葉を口にした。

「私、本気です。先生、私と結婚してください」

< 78 / 286 >

この作品をシェア

pagetop