おとぎ話の裏側~身代わりメイドと王子の恋~
それに……。
入れ替わっているのはお互い様ではないのか。
ジルベールだって今は王子の振りをしているが、本当は従者なはず。あの穏やかな笑みを湛えたローランが本物の王子様なのだ。
今は王子のフリをしているからシルヴィアを咎める言い方が出来るが、本来なら跪いてでしか彼女を見られない立場のはずであり、彼の主人であるローランと入れ替わってやっているジルベールならば、リサの気持ちもわかるはずだ。
そうだとすれば、一方的にシルヴィアだけを責めるのはお門違いだとリサは思う。
そう思うものの、リサはその胸のうちをそのまま言葉にするなんてことは出来ない。彼女は幼い頃から言いたいことを言葉にするのがとても苦手だった。
「リサ?まさか、姫に無理やり入れ替わりを強要されているのか?」
リサが何も言えないのをとんでもない方向に解釈したジルベールが、恐ろしい形相で彼女を見る。
「ちっ、違います!」
これではシルヴィアの印象が悪くなってしまう。ジルベールの考えが間違っていると必死に否定した。
「あの、私もシルヴィア様には幸せな結婚をしてほしくて、だから…」
本当は絵本の結末を知っているから、そのストーリー通りに協力しただなんて言えない。
だが憧れのお姫様であるシルヴィアが幸せになって、めでたしめでたしと言える結婚をしてほしいのは本当だった。