本能で恋をする~again~

*****凛音 side*****
「ありがとうございました~」

「やっと買えたぁ!嬉しい!」
今日私はお気に入りのショップで、前から欲しかったワンピースを一人買いに来ていた。
少し値段が高かったので、パート代を少しずつ貯めてやっと今日買えたのだ。
「早く帰って着よっと!海斗に見せたいし!」

今にもスキップしそうな気持ちで家路に着いた。


「彼ー女っ!可愛いね~!俺達と遊ばない?」
「え?あの、私急いでます!」
「いいじゃん!もちろん俺達の奢りだし、どこでも連れてってあげるよ?」
「結構です!ほんとに急いでるんで!」

とにかくここから逃げたい一心で、突き進んだ。
「行くなよっ!」
手を掴まれる。
急に身体が恐怖で震え、目が潤む。
「ヤベェ、めっちゃ可愛い~!泣きそう~!」
「慰めてあげるよ?行こうぜ!」
「嫌!!離して!!」
海斗!助けて!

「おい!やめろ!その子嫌がってるだろ!?」
え―――?
「は?お前誰?」
「誰でもいいだろ?とにかく離してやれ!」
会社員の方だろう。スーツを着た男性が私の手を掴んでいた男の手を、掴んで言った!

「なんだよ?痛ぇーよ!離せ!」
「彼女の手を離したら、離すよ!」
「わかったから、離せ!」
手が解放される。
「チッ!行くぞ!」
男達は、足早に去って行った。

「大丈夫…?って、え?」
「え…?」
「あの、手……」
「え?―――!あっ!ごめんなさい!つい……」
ほんとに無意識だった。
この男性が海斗に見えてしまい、つい服を握ってしまっていた。
冷静で穏やかな口調なのに、どこか言葉にできない怖さがあった。そこが海斗に似ていて………

「あの、ほんとにありがとうございました!助かりました!」
ペコッと頭を下げる。
「いいえ。気をつけてね!じゃあね!」

*****凛音 side・終*****
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