ただ、一緒にいたい
俺の兄はある裏の組織のボスだ。
その組織の右腕のような存在の俺には、好きな女性がいる。

もちろんその人は普通に生活している。
俺とは正反対の世界で暮らしている。


高校の時、好きになった人――――――

石田 愛月ちゃん。
俺はあずちゃんと呼んでいた。
お人好しで、いつも友達の影に隠れてるようなおとなしい人で。
でも俺をただ一人守ってくれた。

今の俺には怖いものはない。
どんな相手でも勝てる自信があるし、誰も(場合によっては兄貴も)俺に意見できない。

でも高校の時は、弱かった。
だからいじめの対象だった。
何をしても俺が対抗しないから、サンドバッグのような感じだったのだろう。
愛月も、最初はただ悲しそうに俺を見ていただけだった。
そんな愛月が高二になった頃、突然俺に構うようになり守ってくれるようになったのだ。

破れた教科書を見せてくれたり、落書きを一緒に消してくれたり、怪我を手当てしてくれたり。
「今までごめんね。私西山くんの力になりたい」
と。
嬉しかった。一気に心が奪われ、俺達は付き合うことになった。
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