ただ、一緒にいたい
もう止まらないんだ
CLUB Rose Gardenにて―――――
俺は愛月が眠ったのを確認し、ミナが働いているクラブに来ていた。
「いらっしゃいませ。あら、彰様。ご無沙汰しております」
「ミナは?」
「ミナですか?申し訳ありません。今接客中ですのよ」
「すぐに連れてこい…」
「え…?あ、きら様…?」
「いいな…」
「はい、すぐに…」
あまりの表情だったのだろう。
ママは少しひきつった顔で言った。


「彰様。ミナさんが来るまで私達がお相手しますわ!」
ミナ指名の客がなかなかミナを離さないのだろう。他のホステス達が席に付こうと来て言った。

「いらねぇよ……」
「え…?彰様…?」
「酒飲みに来たんじゃねぇよ…!早くミナを連れてこい…今すぐ…」
「は、はい…」
きっとこのVIP席は、闇の中のようで真っ黒だろう。
俺は膝の上で両手を組み、 視線は斜め下を向いている。
自分でもびっくりするくらいの冷たい空気が流れていた。


「彰!」
「ミナ…」
「あ、きら…?」
「お前…わかってるよな…?なぜ俺がここに来たのか……」
ここでやっと、目線をミナに向けた。
「え…?あ、きら、その、顔…」


ミナにとってはきっとここはクラブではなく、地獄の入口に立たされた気分だっただろう。
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