HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

明け方、無事に宿直を終えた相馬先生は自宅に帰り、俺は気になる患者さんが居たのでそのまま病院に残った。

「失礼します」

俺は朝一に父さんの居る院長室を訊ねた。

父さんと一緒に居たのは静佳さんの紹介の総合医療コンサルティング会社「ワイズコンサルティング」のコンサルタント・工藤正彦(ｸﾄﾞｳﾏｻﾋｺ）さん。

彼は元「帝和銀行」本店法人部の営業マン。
退職後は大手町にオフィスを構える今のコンサル会社に転職した。

五年前の病院の大改装の際、メインバンクの「帝和銀行」から追加融資は受けられず、副院長である静佳さんが工藤さんに相談。
彼の手腕と人脈で、つなぎ融資先の銀行との契約を取り付けてくれた。
それ以来の付き合いで、今では病院経営には必要な人となった。