HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

俺は陽依さんに病室を用意した。

「大した火傷では…」

「火傷は大したコトないんですが…少し休んだ方がいいかと思いまして…」

俺は彼女に栄養剤の点滴を投与する。

「高木部長…」

「・・・申し訳ありませんが…紡さんを呼びました」

「失礼します…」

ノックして陽依さんの夫・伊集院紡さんが入って来た。

「…高木部長…お久しぶりです…」
俺よりも長身で体格もアスリート型でスタイル抜群の彼。スーツの上からでも見て取れた。
交通事故で、右目の角膜を損傷して｢防衛隊｣を退役。角膜移植を受け、失明は免れたが、黒のボストン型の眼鏡を掛けて、以前とは違う理知的な雰囲気を漂わせていた。
今は叔父のコンサル会社『アクティビティコンサルティング』でメディカルコンサルタントとして働いていた。
「紡さん…その奥様の火傷なんですが…」

「別に痕は残らないんでしょ？」
「はい…」