HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
偶々、カウンターの近くにいた私が彼の納品書にサインする。

「どうして途中で帰ったの?一ノ瀬さん」

「えっ?」
私は顔を上げて彼を見た。
至近距離で彼は惜しそうな光を瞳に宿して私を見ていた。

「用事があって…」

貴方と村上さんのキスシーンを目撃して、ショックで帰ったとは言えなかった。
「俺は君とお近づきする為に合コンを計画したのに…」

「貴方は…!?」
村上さんと交際してるクセに、そんな軽いタイプの男性とは思いもよらず、私は彼に冷たい視線を向けた。

私は納品書を返し、薬剤の箱を受け取る。

「毎度あり…」

彼はいつもの爽やかな笑みを浮かべ、納品書を受け取って、次の納品場所へと移動した。

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